メレンゲが焼きマシュマロになるまで。
暖人は最初に私の髪のリボンをほどいてから、贈り物の包みを開くみたいに1枚1枚丁寧に脱がせてくれた。

袴、小振り袖、長襦袢・・・姿見の前でまるで何かの儀式みたいに(おごそ)かに脱がされていく。

(ひざまず)く暖人を上から見下ろすのは不思議な気分だった。彼の頭を見つめているとふっと顔を上げてきて目が合った。決意が込められた真剣な眼差し。彼も私と同じように緊張しているのがわかって少し気持ちが和らいだ。

暖人は脱がすごとに袴下帯や重ね衿はもちろん、伊達締め、着付けベルトや腰紐、補正用のタオルまでハンガーに丁寧にかけていってくれた。段々身軽になっていく私の姿を彼はじっと見ていた。

体を覆うものと締め付けるものがなくなっていくにつれ、心まで少しずつ解放されていくようだった。

ワンピースタイプの肌襦袢姿になった私に暖人は先程とは違う穏やかなキスをしながら布の上から私の体に触れていく。

肩から腕を下に降りて手のひらを包んでくれたと思ったら、ウエスト、お腹、そしてその上の膨らみ、もう片方の手は太股を撫でている。

きっとまだ入り口なのに私の体は彼に一撫でされるごとに体温を上げていき、どうしようもなく(うず)いてしまう。一体どうしたらいいのか。

肌襦袢の上を滑らせていたと思った暖人の手が上半身も下半身も中に入ってきた。大好きな彼の手の感触が肌に直接伝わる。

しばらく唇をゆっくり食まれていたが暖人の唇は私の耳や首も熱心に行ったり来たりするようになった。

───どうしよう。こんなのもう、立っていられない・・・。

そう思った時、肌襦袢が取り払われて私は最後の下着姿になった。蛍光灯が煌々(こうこう)と照らす下、姿見の前で。
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