メレンゲが焼きマシュマロになるまで。
下着の上から膨らみに触れられた時、ニットの上から彼の手を掴んで制した。

「・・・今日はちゃんと夜ご飯食べよ?」

「飯は後で、じゃ駄目か?」

切なげな瞳でごねてくる彼が可愛くて負けそうになる。

「・・・だって、昨日はそのまま寝ちゃったから。」

「そんなに気持ち良かった?」

嬉しそうに言われて顔がかあっと熱くなる。そんな私の頭を暖人は優しく撫でた。

「じゃ、飯の後風呂入ってからゆっくり・・・な。」

「う、うん。」

『・・・』の間に秘められた意味に体が反応する。でも恋をする自分を受け入れることが出来た今はもうそんな自分に違和感を感じたりしない。

「もし、俺が風呂入ってる間に寝たら利子がついて朝2倍にしてやるからな。」

私を後ろから抱きしめて、暖人は力強く言った。『2倍』その言葉にドギマギしていると腕の力が緩み彼が私の顔を覗き込んできた。私が期待通りの表情をしていたのか暖人は満足げに微笑むと寝室に着替えに行った。

3月下旬にしては寒い日だったので冷たかったはずの頬を両手で包むと、すっかり火照っていた。温かいおしるこに入っている白玉みたいなその頬に暖人がくれた腕時計を当てるとひんやりと気持ち良かった。針がカチカチと音をたてて進み、幸せな時間を刻んでいた。
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