メレンゲが焼きマシュマロになるまで。
*****

「眠いよ・・・。」

「目覚まさせてやる。」

翌朝の目覚ましアラームは舌だけでなく意識まで絡めとられそうな激しいキスだった。

「そんなことされたら口が筋肉痛になっちゃうよ・・・。」

「いや、全身筋肉痛にしてやる。」

「!?」

「お前、昨日俺が風呂に入っている間にわざと寝たろ。2倍にして欲しかったのか?そうだろ。」

耳元でささやかれる。

「違う、本当に寝ちゃっただけ・・・。」

「何にせよ、約束は約束だからな。きっちり利子まで払ってもらう。」

そのまま耳をくわえられた。耳の中で温かくて湿っている平たい物がうごめいて思わず声が漏れた。無意識に手を動かすと暖人が驚いたような声をあげた。

「は!?お前、この時計つけて寝たのかよ!?」

「うん。お風呂の時外したけど、すごく嬉しくてつけたまま寝たかったの。」

「はぁ~、勘弁してくれよ。」

彼は大きなため息をついて頭を抱えた。

「え、ごめんね。駄目だった?・・・あ、そうだよね。寝てるうちにどこかにぶつけたりしちゃうかもしれないもんね。ごめんなさい・・・。」

「・・・そういう可愛いことすると2倍じゃ済まなくなるからな。」

「え!?あ、あの・・・。」

「・・・この時計以外は全部脱がせるから。」

彼の唇は再び耳元に近づいて言葉を直接耳に送り込む。手首はぎゅっと掴まれている。

「お前は未知の生命体だ。学会に発表する前に隅々まで研究し尽くしてやらなきゃな。ああいう風にしたらどうなるのか・・・とか。」

「ああいう風って・・・?」

「追々、ゆっくりな。」

その妖しい笑顔にドキドキさせられるのがクセになってしまいそうだ。

「・・・あのね。どういう風に言ったらいいのかわからないんだけど。」

「ん?」

「その・・・私、ただいやらしいだけの行為だと思ってたの。でも、好きな人となら、体だけじゃなく心も繋がる行為なんだね。ちゃんと愛があって綺麗で温かいことなんだって知った。言葉では伝えきれないたくさんの『好き』を伝え合えるんだね。」

「・・・そうだな。今から存分に伝えるよ。」

首にキスをされ、体が急激に熱くなってきてしまう。

デートに出掛けるのは予定より遅くなってしまいそうだ。
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