メレンゲが焼きマシュマロになるまで。
浅草観光が終わり家まで送ってもらった。門の前で暖人と向かい合う。

「・・・じゃあ、明日研修頑張れよ。」

「うん。今日すごく楽しかった。ありがとう。」

「食欲戻ってよかったな。でも明日研修なんだし、酒は飲むなよ。しばらく飲んでないんだろ?」

「・・・。」

心配してくれて嬉しい。素直に『うん。』と頷きたい。けれど、まだ離れたくない気持ちが強くて押し黙ってしまう。恋をすると自分をコントロール出来なくて本当に困る。

「おい、大丈夫か?食べ過ぎか?」

「・・・見張ってて。」

「え?」

「お母さん達まだ出張だし・・・私が今夜お酒飲んじゃわないように暖人が見張ってて。」

「・・・お前。」

「あ、はは・・・なんて、駄目だよね。ごめんね。じゃ。」

固まってしまった暖人の顔から目を逸らし、門の取っ手に手をかけた私の手の上に彼の手が重なった。

「親の留守中に家に上がるわけにいかないから、研修の準備持って俺の家に来い。そんな可愛いこと言って、帰ったらどうなるかわかってるよな。酒飲むより体きつくなっても知らねぇぞ。」

ぎゅっと手を握られて見上げると暖人がハンターみたいな目で私を見ていた。
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