メレンゲが焼きマシュマロになるまで。
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暖人の家の玄関に入り鍵を締めた途端、靴を履いたまま抱き上げられてキスをされながら布団まで連れていかれた。玄関の電気のみがついていて部屋は暗かったけれど、その中での触れ合いを怖いとは感じなかった。

見えない分聴覚が敏感になるのか、自分達が発する声や音が明るい時より耳に響く。戸惑いつつも体と心がどんどん熱くなっていく。

暗くて顔が見えないからかこの数日で何度か体を重ねたからなのか、恥ずかしい気持ちが弱まって、私は暖人の顔を引き寄せて自分からキスをしてしまった。ふと我に返ると弱まったはずの恥ずかしさが押し寄せてくる。

暖人の表情は暗くて見えないが、彼はフリーズしているようだった。やってしまった、と思っていると彼は今までで一番激しいキスを返してきた。キスだけでなく私の体に触れる時も、繋がった後も今まで手加減されていたのがはっきりわかるくらいだった。

私も今までは恥ずかしさから完全には自分を解放出来ていなかった。タガが外れたように今までより大きな声を出して、自分から彼に触れた。この触れ合いにはどこまで先があるのだろう。でも暖人となら怖くない、どこまででもいきたいと思った。体も心ももっともっと深く彼と繋がりたい。

そして出来ることなら私の未来も彼のものにしてほしい。そして彼の未来がほしい。まだ気持ちが通じあったばかりでこんな気持ちになっているなんて知ったら彼は引くだろうか。『重い女』と思われるだろうか。でもいつかこの気持ちを彼に伝えられたらいいな、と思った。
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