メレンゲが焼きマシュマロになるまで。
「・・・じゃ、またつけて?せっかくこの花びらが私のところに来てくれたんだし、それに・・・。」

「それに?」

「昨日と今日、すごく楽しかったからその記念としてとっておきたいんだ。」

私のその言葉を聞いた彼は例の焦った表情になった。

「な、何言ってるんだよ、お前!昨日も今日も特別なことなんて何もしてないし、こんな花びらどこにだってあるだろ。捨てるぞ。」

「あっ!だめ!・・・!?」

暖人が花びらを地面に落とそうとしたので、慌ててその手を掴もうとして彼の胸に飛び込んでしまった。

その瞬間ぎゅっと抱きしめられ、ドキドキしながら暖人の顔を見上げる。細身に見える体はがっしりしていた。こういうことが初めてなわけではないのに、背中に回された手を猛烈に意識してしまう。

「・・・お前、あんまりそういうこと言うなよ。」

「どうして?」

「どうしてもだよ。」

彼はそう言って体を離すと私の手を取ってそこに花びらを乗せた。

「髪につけて帰ったら落ちたりするかもしれないし、誰かがとってくれたりしちゃうかもしれないから・・・バッグに入れて持って帰れ。」

「・・・うん。」

今日はこの時期にしては涼しいのに心がぽかぽかと暖かかった。今のこの瞬間をハーバリウムみたいに瓶の中に閉じ込めて好きなだけ眺めることが出来たらいいのに、と思った。
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