メレンゲが焼きマシュマロになるまで。
「はぁ、パンもスープもサラダも美味しかった。」

「・・・お前、そんなに小さいのによく飲むしよく食うな。眠そうにしてたくせに『下のカフェに行くか?』って聞いたらガバッと起き上がったし。眠気より食い気か。」

暖人が驚きと呆れを合わせた口調で言う。

カフェにはこじんまりとした庭があって食後に出てみていた。

色やサイズが統一されていない様々な花々、奥に行くに従って高い植物が植えられたボーダーガーデン、テラコッタや陶器の鉢、木製のベンチなど、ナチュラルな魅力が溢れていた。

「美味しくてお庭も素敵で・・・また来たいな。」

「・・・来ればいいんじゃねえか?別に。」

「来てもいいの?」

「この店、住人じゃなくても外から入れるし。来たい時に来れば。」

「・・・うん。」

───私・・・暖人も一緒にって自然に思っちゃってた。また家に遊びに行って、なんて・・・。

一抹の寂しさを感じた心を元気づけるように心地良い風が吹いた。庭の緑がざわっと揺れる。

「花びら、ついてる。」

「ん?」

暖人に言われて髪に手を伸ばしてみる。

「そこじゃねえ。」

彼が私の髪に手を伸ばす。触れられた感触の後離れたその手には白い花びらがあった。

「ありがとう。」

「・・・。」

暖人は花びらを手に持ったまま私を見つめる。

「ん?何?」

「いや、花びらつけたままでもよかったかなって。」

「どうして?」

「・・・その、似合うから。」

照れたように目を逸らされて、さっき風で揺れた緑のように胸がざわめいた。
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