フラれ女子と秘密の王子さまの恋愛契約


香澄が帰ろうとした時、意外な人が私の病室を訪れた。


「謝罪とお礼が遅くなりまして、申し訳ございませんでした」

マリアさんが頭を下げるけど、彼女は入院当日に駆けつけて謝罪をし、治療費は全面負担してくれると言った。 これ以上何も望まないんだけど。

それより、まさかと思ったけど。ミレイ王女ご本人が病室を訪れるなんて。
どうりで、今日は警備がいつもより厳重だと思った。将来グレース王国の女王陛下になるかもしれない、極めつけのVIPだ。極秘になってるけど、彼女への暗殺未遂事件があったんだ。
これ以上危険な目に遭わせたら日本政府の面目が丸つぶれどころか、外交問題に発展しかねないよね。

ただ、香澄は気を利かせて退室しようとしたけど。ミレイ王女はなぜか「カスミ……とおっしゃったわよね?あなたにも用件があるの」とおっしゃった。

「え、でも。わたしと王女殿下は今日が初対面のはずですが……」

香澄が困惑しながら答えると、椅子に座ったミレイ王女はこう言った。

「レイ王子から預かったものがあるの。サクラだけでなく、カスミにもよ」

「えっ……」

レイからの、預かりもの?
どうしてミレイ王女が、レイに??

ドキドキと嫌な鼓動と予感が身体中に広がっていく。
もしかしたら……レイは、思い直してミレイ王女と?
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