フラれ女子と秘密の王子さまの恋愛契約
「からかう?そう思いたいなら思えばいい」
ばっさりと、彼は私の言葉を切り捨てた。
そして、彼もまたポツリと自分のことを話す。
「オレは、ある理由から結婚相手を捜してる」
「結婚相手……?」
まさに、え?と驚くしかない。
若いのにミシュランガイドに載り星をもらうような一流レストランの常連で、ブランドスーツに身を包むモデル並みの容姿の男性。
経済力もあり、たぶん社会的地位も相当だろう。それこそ独身女性が殺到しそうなお相手なのに?結婚相手を捜す必要がある!?
「ど……どうして私ですか?あなたならもっと……」
「アンタが他の男を好きだから」
私の言葉に被せるように、彼はキッパリ言いきった。
「アンタなら、オレを好きにならない。オレもアンタを好きにならないーーだから、いいんだ」
その時……彼は一瞬だけ目を伏せたけど。
どうして、だろう?
傷ついたような……悲しいような。
そんな顔が垣間見えた気がした。
「したければ結婚式と新婚旅行まではすればいい。ただし、籍はいれなくていい。成田離婚ってやつか……アンタがオレに愛想を尽かせて別れるってことでいいだろ。もちろん、謝礼は用意する」