フラれ女子と秘密の王子さまの恋愛契約


それにしても、なぜひとり暮しなのにこんなファミリー向けの物件を買ったんだろう? 通勤に都合がよかったからとは言ってたけど、下の階にはもっと小さな間取り(それでも3LDK)はあったのに。

(結婚相手を探してるって言ってたたけど……そのためかな?)

まだ、彼に関しては知らないことが多すぎる。普段は寡黙というか、言葉少なだからかあまり自分から喋らない。 事情くらい説明してくれてもいいのに。




「やった~美味しそう!いただきま~す」

ナチュラルウッドのダイニングテーブルに、温めたポテトグラタンとコーンスープを置くと、小椋さんは両手を合わせ、きちんと挨拶してからいただく。

言動はちょっと浮いてるけど、育ちのよさがけっこうあったりして感心した。

対する真宮さんは、熱々の紅茶にマシュマロと蜂蜜を入れてかき混ぜる。げんなりした顔で、小椋さんの食事を眺めた。

「おまえ……よくそんなに食えるな」
「社長こそ!疲れた時こそしっかり食べなきゃですよ。何をするにもエネルギー源は必要です。きちんとした食事は健康的な生活の基本ですよ~ね!さくらさん」

いきなり話をふられて、慌てて頷いた。

「そうです。せめて……コーンスープだけでも」
「ほら~!婚約者さんも心配してますからきちんと食べましょうよ」

小椋さんはすぐに体を乗り出し、真宮さんをスプーンで指した。それって失礼なんじゃ……。

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