フラれ女子と秘密の王子さまの恋愛契約
(本当に、真宮さんは知らなかったの?)
そんな疑問も頭を過ったけど、そういえば彼はこんなことをクリスマスイヴに話してた。
“…3つの頃には生死に関わるケガをした。それがきっかけで、乳母の故郷であるこの国へ母上とともに亡命したんだ”
3歳で死にかけるほどのケガをさせられ、グレース王国から日本へ亡命したなら、あの王女様の年回りから言って知らないのは本当かもしれない。真宮さんの亡命時はまだ生まれてなかった可能性もある。
だけど、婚約というのはわからない。もしかしたら、真宮さんが知らないうちにグレース王国が勝手に決めてしまったのかもしれない。家と家ならともかく、国が決めたことを簡単に覆せるものなのかな?
とても不安に駆られながら、私はクリスマスイヴの夜を思い出した。
あの時、彼が初めて私に自分の事を話してくれて、すごく幸せだった。
香澄たちと会った時も護ってくれたし、和彦にもキッパリ反論してくれて。
そして、展望台を貸しきった雪の中でのワルツ……
まるで、美酒に酔ったような。心地よい幸せを感じた。
彼と、ずっとずっと踊っていたかった。
現実には、私の足が馴れない高さのヒールで悲鳴を上げて。全然ロマンチックに終われなかったけど。
“今度はゲタで踊るか”なんて、ユニークかなんだかわからないからかい方をされて。
“なら、真宮さんは鉄ゲタにしてくださいね”と返したら、笑われてしまったけど。
お姫様抱っこされてマンションに帰りながら、“アンタが望むならな”……なんて微笑まれて。撃沈するしかなかった。