フラれ女子と秘密の王子さまの恋愛契約
小椋さんの案内で都内の地下鉄丸ノ内線池袋行きに乗り、大手町駅で半蔵門線中央林間行きに乗り換えると。2分ほどで神保町駅に到着した。
それからしばらく歩けば、神田神保町へ到着。
なぜ車を使わないのかと言うと「危ないからです」ということらしい。素人にはよくわからないけど、きっと様々な理由があるんだろう。
「お、早速古めかしいいい店が見えたぞ」
今日ばかりはお父さんが主役。子どもみたいにウキウキしてる姿を見るのは初めてだ。
「さくら、お父さんにはわたしがついているから、あなたも真宮さんとデートしてらっしゃいよ」
お母さんが気を利かせてくれたのか、こう言ってくれた。
「買った本はまとめて家へ送るし、荷物持ちは必要ないわよ。若い人は若い人で楽しんできなさいな」
ぽんぽん、と背中を叩くお母さんは、小さな声で「ちゃんと真宮さんと話して仲直りするのよ。わたしもお父さんとなるべくそうしてきたから」と、アドバイスしてくれて。私も小さく頷いた。
「ありがとう、頑張ってみる」
「頑張れ!わたしの可愛いさくらならやれるわよ、うん」
「……お母さん、恥ずかしいよ」
年末もあって人通りが多い場所で、実の親に抱き締められるとさすがに赤面ものだ。
だけど、お母さんの励ましに勇気を貰えた気がする。
(うん、頑張ろう。レイと話して……なんとか誤解を解こう)