あざといきみの誘惑は
そんな彼を止めたのは、いつも明間と行動を共にして、もはやお守り役と化している友利だった。
「こら、明間。青羽を困らせんな。喧嘩ならいつでも出来るだろ。それに、ツボ……穂村より強い奴なんて、そこら中にいるし」
友利の言葉に、明間はいまだにむっと唇を尖らせていたけど、ぼふんとクッションの上に沈み込んだ。
……ほっ。さすがの私でも、明間相手じゃどんな風に対処すればいいのか全くわからなかったから、助かった。
胸を撫で下ろしたのも束の間、目の前から冷たい声が聞こえて、一瞬でぴんと背筋が伸びる。
どうやら安心する暇さえ与えてもらえないらしい。
「ライは、あの日、あそこに蹲ってるよう指示された?それとも、自分で考えてあそこにいた?どっち?」
「い、え。指示、されました」
間を置くことは許されない。
迷うような言葉を言った時点で、それは信じてもらえないだろう。