あざといきみの誘惑は
明間の一言に、ひくっと一瞬で顔がこわばる。
殺気なんて微塵もかんじられない。
それが、余計にこわさを助長してくる。
彼、明間綺良にあるのは、激しい闘争心と、強烈な戦闘欲だけ。
この中でも、1、2を争うほどの強者。
外野、そして仲間内からも戦闘狂とか、バーサーカーと言われるほど。
それほど、彼は飢えているのだ。
〝喧嘩〟に。暴力に。
まるで、眠たくなったから寝るのと同じような感覚で、明間にはそれが備わっている。
そんな頭とち狂った奴に、青羽ははあとため息を落として綺麗な藍色の髪を揺らした。
「ダメに決まってるでしょ。まだ聞きたいことあるんだから」
「えー、でもこっちで情報掴んでるんでしょ?それならいーじゃん。問答無用でボコっても」
ぶうっ、と唇を尖らせて文句を言う様は、さながらワガママを言う幼稚園児。
けど、そのうちにあるのは、猛烈な破壊衝動。たったそれだけ。