あざといきみの誘惑は




ビル自体はボロいのに、この部屋だけ異常に綺麗。


キッチンや個室、ソファやトイレにテレビも完備。

時たま誰かが泊まってるとか泊まってないとか。


生活感のある部屋だし、誰かがここを借りてててもおかしくはない、か。


ゆっくりとひとり掛けソファに腰掛ければ、目の前のソファに座る総長の青羽。

その横に腰掛ける友利は、こそこそと何かを青羽に耳打ちしている。


何度かこくこく頷いた青羽は、そろりと緩慢に視線を投げた。



「……デ、弁明はある?」



鋭利じゃない。咎めるようでも、ない。

だけど、なぜか喉が引き攣ってしまうほどの、圧迫感があった。

そんな空気を宿す瞳を前にして、ようやく悟る。


……これ、は。慎重に言葉をえらばないと、ダメだ。

一語一句、一挙一動で、コイツらの中での私の処分が決まる。


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