長い梅雨が明けた日
こんなのは私らしくない。
そんなことは自分が一番よく分かってる。
明るい話題で笑い飛ばせばいい。
頭の中で何度もそう考えるが、実際は視線を上げると怪しそうな場所をキョロキョロ見てしまう。
そうならないように目線を下げたまま優弥にくっついて帰るしか策がなかった。
臆病者!ビビるなっ!甘ったれるな!
自分で自分に叱咤する。
私みたいなガサツな女が男子にくっついて大人しく歩いてるなんて柄じゃないのは百も承知。
なのに今だに克服出来ないトラウマ。
優弥にくっついて歩くのは幼い頃の名残り。
いい加減、高校生になったんだからどうにかしないと…
そう思っていても結局何の解決策も見い出せずいつも優弥頼み。
優弥、いつも面倒かけてごめん
河野、柄にもなく抱きついちゃってごめん
豊永に何も言わない二人に心の中で感謝しながら薄暗い道を大人しく歩いた。