長い梅雨が明けた日

「え?マジで?」

嬉しそうに顔を緩ませたトヨに呆れた。

「マジも何も、そうしたければ直接理乃に言えばいいだろ」

そう言った俺は横にいた健二の事を気にしていなかった。

「なんだ。そうだったのか。
理乃ちゃんと河野の噂はマジだと思ってたんだけどな。
優弥公認なんだと思ったんだけど俺の勘違いだったんだな」

そんなトヨの声が俺と健二の足を止めた。


「それなら遠慮なく。
俺、マジで理乃ちゃん狙うから」

そう言ったトヨが突然声を張上げた。


「あ!理乃ちゃーん!」

後方からバスケ部女子の一団がきゃいきゃいと騒いでいるのが見えた。

その中には当然理乃がいた。

「理乃ちゃーん、一緒に帰ろー」

理乃にオーバーアクションで手招きするトヨに面食らった。

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