長い梅雨が明けた日
「で、なんなの?」
「あー、今度の練習試合で……」
うっとおしい話をバッサリと切り捨てて本題に入る。
話しながら歩いていたはずが、いつの間にか校門近くで立ち止まって話を聞いていた。
そんなに長話してはいないはずなのに、道路を走る車のヘッドライトが明るく感じた。
『また降ってくるかな?』
思わず見上げた薄暗い雲を気にしつつ、視界を下げると校舎脇からサッカー部の集団が歩いて来た。
「お。ちょうどいいとこに。優弥ーっ」
河野がサッカー部員の中から優弥を見つけて声をかける。
何?もしかして優弥を待ってたの?
校門前で立ち止まっていた理由がこれなのかと疑問を頭に浮かべながら、一団の中から出てきた優弥を見た。
「…健二、声でけぇよ」
微妙に不機嫌そうな優弥が合流した。
「ちょうど今、話し終わったとこだから白井をよろしく」
「は?…何でだよ。
まさかその為に待ってたのか?どうせお前も一緒のくせに」