きみは微糖の毒を吐く










乙葉に初めて出会ったのは、高1の冬。


俺が初めて表紙を飾った雑誌の発売日に、マネージャーと一緒に行った本屋だった。



ある本の前を通った時に、マネージャーにその本の話をしたら。


後ろにいた、泣きそうな顔をした女の子がそれを手に取って、それから買っていったのを見た。



その寂しそうな背中が前の自分と重なって気になっていたから、春になって乙葉が転校してきたときは驚いた。



暗い表情も、クラスの誰とも仲良くならないところも、気付けば乙葉のことばかり見ていた。




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