ある雪の降る日私は運命の恋をする-short stories-
研修医
ある日、子どもたちの写真を整理しようと思い押し入れからアルバムを取り出した。

葉月と柚月が産まれてから、写真をよく取るようになった。

ドラマとかで、家族がアルバムを見返して思い出を語るなんてシーンがよくあるけど、私は、小さい頃の写真がほとんどなくて、そういう事はしたことがなかった。

でも、そういうシーンはとても楽しそうで幸せそうな雰囲気が漂っていて少し羨ましく思ってしまう。

だから、葉月と柚月には語れるくらい楽しい思い出をいっぱい残しておいて欲しいと思って撮り始めたのがきっかけ。

葉月と柚月だけのアルバムから、望笑夏が増えてまた写真が増えた。

最近、ゆっくり時間を取れる日が少なかったから、こうして時間がかかるアルバムの整理をできるのは久しぶりだ。

時間はかかるけど、写真を見返しながらその時の出来事を思い出すのは楽しくて、つい夢中になってしまう。

どのアルバムが一番新しいのかわからなくなって、パラパラと捲る。

すると、一枚の写真がアルバムから落ちてきた。

見ると、白衣の男の人たちの写真。

…楓摩のかな?

写真に写っている人たちはみんな同い年くらいで、とても楽しそうにピースをしている。

「あ、これ楓摩だ…」

今よりも少し顔が幼い楓摩。

隣で楓摩と肩を組んでいるのは…、陽向先生?

まだお医者さんになったばかりの頃の写真なのか、みんな白衣が浮いて見える。

あとで、楓摩に聞いてみよう。

そう思って机の上に写真を避けておいた。
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