1日だけの恋~10月25日夜完結~

お台場に男性と来たのは、初めてだ。
もっと言えば、デートらしいデートをしたのは今日が初めてだった。

公園を綿貫さんと並んで歩けるなんて思ってもいなかった。

だから、すごく夢みてるみたいに気持ちがフワフワしていた。

一年前にふと手にした雑誌に綿貫さんが出ていた。

ブラウン化粧品会社 取締役社長 綿貫斗真。
やり手の若きカリスマ社長。

一代で日本を代表する化粧品会社を築き上げた綿貫さん。


そのカリスマな能力と魅力にすっかり虜になってから私は綿貫さんのことを細かくしらべあげた。

熱狂的なファンだといってもいい。

でも、それが、ただのファンじゃいられなくなってしまった。

それは、今年の夏に私の結婚話が持ち上がったからだ。


結婚というものを身近に感じてから私は自分の人生に疑問を感じるようになっていた。

このまま、愛してもいない人と結婚する。

それって、不幸なことじゃないだろうか。

きちんと付き合った人もいない。
恋もしらないまま、結婚してしまったら?

この先、私は自分の人生って、一体なんだったのかと後悔するに違いない。

でも、恋はしようとして急に出来るものではない。

では、どうしたら?

さんざん考えてたどりついた答え。

それは、考えた割には馬鹿馬鹿しいものだった。

恋が出来ないなら、結婚前に、せめて憧れの人に抱いてもらいたい。

憧れの人に一度でも優しく抱きしめてもらえたら、私は多少後悔しないのではないか。

そんな突拍子もないことを思い付いてしまったのだから、私は馬鹿馬鹿しい女だ。













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