1日だけの恋~10月25日夜完結~
「綿貫さん!」

リビングへいき、どこかへ出かける準備をしている綿貫さんを呼んだ。

「……ブライベートの俺に近づいても収穫はないよ。俺は、仕事をブライベートな空間には持ち込まないから」

ビジネスバッグを閉じて綿貫さんは私を見た。

その瞳が大きく見開かれている。

恥ずかしいことをしている。人生で一番恥ずかしいことだ。

医者以外に自分の下着姿は見せたことがない。

勇気がいったが、これが最初で最後だと思えば耐えられる。

これからの人生のためだ。

この先、どんなにつまらない人生が待っていようとも、昨日と今日が最大の思い出になるなら悔いはない。

それを糧に生きていける。

そう信じたから、今、私はこうしてバスローブを脱いで綿貫さんの前に立っていた。
< 52 / 90 >

この作品をシェア

pagetop