1日だけの恋~10月25日夜完結~
「は?どうせ、うちの新商品に関する情報を手にいれるとかそんなとこだろ?」
「いえ、会社も父も祖父も関係ないんです。私は私の目的の為にあなたに近づいたんですから」
きっぱりと言いきった。
それが事実だから。
「だから、なんなんだよ、それって」
わからないというように眉間に皺を刻んだ綿貫さん。
綿貫さんには聞いてもらいたい。私が近づいた訳を。
それを聞いても受け入れてもらえなかったら仕方ない。その時は諦めよう。
気分は落ち着いてきていた。
悟りを開いたお坊さんのように。
静かに尋ねた。
「あの失礼ですが……これから、どこかへいく予定がおありでしょうか」
出掛ける準備をしている綿貫さんに、これ以上話を聞いてもらうのは無理だろうか。
「あぁ、会社へ行くつもりだ」
会社か。
仕事にいく綿貫さんを引き留めることは、普通なら難しい。
でも、もう普通ではない行動はしてしまっている。
不思議なくらいに肝は座っていた。
「……少し遅らせてもらえませんか?」