1日だけの恋~10月25日夜完結~
声のした方へ顔を向けてみた。
ブラック系の細身のスーツが似合うシュッとした男性が笑顔で立っていた。
「真理亜さん、こんばんは
花村 遥人(はなむら はると)です」
花村……。
やはり、予想通り見合い相手だ。
花村さんは、私に握手を求めるように手を差し出してきた。
にっこり微笑まれたので、少し迷ったが手を伸ばした。
伸ばした手は、ガシッと掴まれ、そのまま力強く引かれてしまう。
そのため、私はよろけるように前に出て、綿貫さんから完全に離されていた。
花村さんのそばに立ち、唖然として花村さんを見上げていると、私より花村さんは少し前に出て綿貫さんに向かう。
「お話の途中で大変失礼いたしました。
……真理亜さんとは、お知り合いですか?」
「えぇ、まぁ。あなたは?」
綿貫さんは、無表情に花村さんを見返して問いかけている。
「真理亜さんの……」
花村さんは、私をにっこり笑って振り返ってから、再び綿貫さんの方へ顔を向けた。
「未来の夫です」
自信のある口調ではっきり答えた花村さん。
「は?」
怪訝そうな顔をする綿貫さんを見て切ない気持ちになった。