バイバイ、ベリヒル 眠り姫を起こしに来た御曹司と駆け落ちしちゃいました
広報部の人がスマホをいじりながら社長に声をかける。
「社長、マスコミが多すぎて人手が足りないそうなので、私も行ってきます」
「分かった。ゲストに失礼のないようにな」
低いのによく通る声だ。
「じゃあ、星崎さん、社長をよろしく」と、広報部の人が駆けていく。
えー、なんで!?
二人だけで置いていかないでくださいよ。
横に立つ社長から顔を隠しながらボタンを何度押してみてもやっぱりエレベーターはこない。
時間が凍りついてしまったかのようだ。
膝までガクガクしてきた。
「どうした? トイレか?」と声をかけられる。
「ち、ちがいます」と答えたものの、本当にお腹まで痛くなってきた。
「荷物はこれだけか? 他の連中はどうした?」
「先に上がってます」
一瞬、お互いに無言になる。
目の端でうかがうと、強い視線を感じた。
え、どうしよう。
見られてる!?
『社長を怒らせないようにしろよ』
課長に言われた言葉を思い出す。
なんだか泣きたくなってくる。
やっと業務用エレベーターが到着した。
大きな扉がゆっくりと開く。
社長が先に乗り込んで『開』のボタンを押してくださる。
本当は私がやらなくちゃいけない役割なのに。
焦って台車を押したら、隙間に車輪がつっかえて段ボールが崩れそうになってしまった。
「あっ!」
思わず手を伸ばそうとすると、今度は自分のお腹が台車の押し手につっかえて食い込んでしまった。
息が苦しい。
「大丈夫か?」
「は、はい、すみません」
「大事な広報資料だ。気をつけろよ」
「すみません」
なんとか荷物を運び入れて扉側を向く。
また一瞬、時間が固まってしまったのかと思った。
扉が開いたまま、いつまでたっても閉じないのだ。
「社長、マスコミが多すぎて人手が足りないそうなので、私も行ってきます」
「分かった。ゲストに失礼のないようにな」
低いのによく通る声だ。
「じゃあ、星崎さん、社長をよろしく」と、広報部の人が駆けていく。
えー、なんで!?
二人だけで置いていかないでくださいよ。
横に立つ社長から顔を隠しながらボタンを何度押してみてもやっぱりエレベーターはこない。
時間が凍りついてしまったかのようだ。
膝までガクガクしてきた。
「どうした? トイレか?」と声をかけられる。
「ち、ちがいます」と答えたものの、本当にお腹まで痛くなってきた。
「荷物はこれだけか? 他の連中はどうした?」
「先に上がってます」
一瞬、お互いに無言になる。
目の端でうかがうと、強い視線を感じた。
え、どうしよう。
見られてる!?
『社長を怒らせないようにしろよ』
課長に言われた言葉を思い出す。
なんだか泣きたくなってくる。
やっと業務用エレベーターが到着した。
大きな扉がゆっくりと開く。
社長が先に乗り込んで『開』のボタンを押してくださる。
本当は私がやらなくちゃいけない役割なのに。
焦って台車を押したら、隙間に車輪がつっかえて段ボールが崩れそうになってしまった。
「あっ!」
思わず手を伸ばそうとすると、今度は自分のお腹が台車の押し手につっかえて食い込んでしまった。
息が苦しい。
「大丈夫か?」
「は、はい、すみません」
「大事な広報資料だ。気をつけろよ」
「すみません」
なんとか荷物を運び入れて扉側を向く。
また一瞬、時間が固まってしまったのかと思った。
扉が開いたまま、いつまでたっても閉じないのだ。