俺様めちゃモテイケメンが一人にはまったら。

祐世side20

美月はどんどん魅力を増していく。

三年の夏も過ぎれば本格的に就活に力を入れ出し色々な所のインターンに参加している。
俺は卒業後の就職先は決まっていたので、たまに気になった企業のインターンに参加する以外は特に就活をしていなかった。

年内で今のバイトも辞め、年明けからは授業の無い日は俺が就職する会社に研修を兼ねて通う事になっているから。

俺が就職するのは父親方の叔父が社長を務める有知商事。


俺の親父は一人娘だった母と結婚するために婿養子に入った。
本来なら有知商事で次期社長の兄の片腕として働く予定だったが大学時代に出会った母の家もまた地元で手広く事業を行っている家だったため結婚するには婿養子に入るしかなかったらしい。

その後、叔父夫婦は子供に恵まれず、婿養子で家を出た弟の子供のどちらかに継いでほしいと言われ、兄は家の事業を継ぎ、叔父の有知商事の後継者には俺が選ばれる事になった。




ある日、インターンに参加した会社から面接のお誘いが来たと美月が嬉しそうに報告してきた。
『祐世!前にインターンに行った有知商事から面接を受けないかってお誘い貰ったの!』俺はその会社名を聞き返事が出来なかった。

美月は俺の家が地元で何か商売をしていて裕福な家庭なんだろうなと思ってはいると思う。地元で俺の見た目にもだが家柄にもよってたかる者、女が多かったから美月に家の事も話したことは無い。話をしても今までの奴らと違って態度を変えることは絶対にないと思うが、何故だか俺は言う事ができなかった。

家の事も伝えれずにいるのに俺が有知商事の次期後継者候補だとは言えるはずもない。


面接して即採用にはならない。
まずは人事担当と課長クラスの者たちとの面接、そしてそれに受かれば部長以上クラスの者との面接があり、それに受からなければ内定は貰えない。

年が明け1月末に一次面接合格の通知が届いた。

二次面接は一か月後、そしてその結果が出るのは三月の末ぐらいだろうか。

いいかげん美月に俺の就職については伝えなければ、そう思うがどうしても伝える事ができない。騙していたわけではないのだが、美月から初めて有知商事の名がでてから時間が経ちすぎて余計に言いづらくなってしまった。




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