交錯白黒

だから、彼女の導火線の火種になるような言葉をセレクトし、少し大袈裟に非難しめいるのだ。

「は、安っぽい反撃ね。その程度の挑発に私が乗るとでも?」

「挑発なんかじゃないわ。客観的な意見よ」

「そう。それでも、私についてきてくれるわよ、皆は」

高田さんは酔いがさめたようで、切れ味を取り戻してきた。

ならば。

「貴女、悲しくないの?」

「はあ?」

素っ頓狂な声が寧ろ、嘘をかぶっているように見えた。

「私のことが何でそんなに嫌いなのか知らないけど、私を負けさせたい、と思うなら貴女が努力すればいいじゃない。何故蹴落とす思考回路になるの?貴女はそれで勝った気になっているようだけど、それは本当に?私は気高く冷酷な白女王から墜ちたかもしれないけど、それは敗北なのかしら?ねえ?悲しくないの?」

木々が行く先を案ずるように談合する。

とても耳障りだった。

「……あのねえ」

嵐の前の静けさ。

「それができたら苦労してないのよ!!」

来た。

「私は死ぬ程努力した!!夜も寝ずに、身を粉にして!!あんたは知らないからそんなこと言えるんでしょ!?全部全部、あんたのせいなのに!!」

私の、せい?
 
橘くんと顔を見合わせ、眉をひそめる。

彼女を蝕んでいったものは、一体何?
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