激おこ転生幼女のモフモフ無双!
 ついに私は、スカーレットに招かれた《ここ》、ピンクと水色の毛が折り重なった毛玉の真ん中部分に到達した。興奮と期待でガクガク震える手を突っ込めば、微妙に異なるふたつの質感のモフモフに、指先がもふんっと沈む。
 う、うっ、うわぁああぁあ~~っ!
 ここからは本能に衝き動かされ、気づけばボッフンッとダイブで飛び込んでいた。
 ぁ、あ、ぁああぁああぁああ~~! この世の天国は、ここにあれり~~!
《あら、震えはけたたましいけど、体はそんなに冷えてないみたいね。よかったわ、今夜はここでゆっくり休んで》
《スカーレットの友がこのように震える事態。どれ、私も温めるのに協力しよう》
 鼻血が、吹き出しそうになった。しかし次の瞬間、二色の尾っぽが私の上に、ぽふん、ぽふんと同時に掛かる。
 や、やっ、やらけ――っ! ふわっ、ふわっ、ふわふわじゃ~~っ!
 間違ってもこの極上モフモフ掛け布団を血で汚してなるものかと、私は意地で鼻血を堪えた。
 モフモフの楽園を揺蕩いながら、鼻血は意地と根性で堪えられるのだと、震える手でモフモフの魅力と共に脳内メモの端っこに記す。ペンを置くと、私は二色のモフモフに埋もれ、最高に幸福な気分で眠りについた。


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