ラグジュアリーシンデレラ
「えっ?」

「私が林人と出会ったのは、学生時代よ。同じ大学の先輩だった。卒業して、私は他の会社に働いていたけれど、林人が自分の会社を起こしたって聞いて、一緒に働かせて下さいって、林人の会社に飛び込んだの。二人でよく取引先の会社に、電話をしていたわ。御社の事務用品をぜひウチで、扱わせて下さいって。」

亀山さんは、ふふふと笑っていた。

そう言えば林人さんも、笑顔で電話をしている。

二人にとっては、そんな辛かった時代も、今では笑い話になるんだ。


「私が出来る事って、ないんでしょうか。」

すると亀山さんは、私の肩を叩いた。

「何言っているの。社長を癒すのが、あなたの出来る事でしょう。」

亀山さんは、こんな時でも笑顔を見せない。

それは好きな人を私に奪われた、唯一のプライドみたいなものだと思う。


「詩歌!上手くいった。」

「よかったですね、社長。」

林人さんが仕事が上手くいって真っ先に駆け寄ったのは、亀山さんで。

林人さんに、真っ先に迎えたのは、亀山さんだった。

なーんだ。

二人は、そんな絆を持っているんだ。

私が入れる隙間なんて、元々なかったんだね。
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