ラグジュアリーシンデレラ
バケツを持ってオフィスを出ると、斉藤さんは急にムフッと笑いだした。

「そう言えばさっき、ここの社長さん入っていったけど、見た?」

「はあ……」

「可愛いいよね。アイドルみたい。」

確かに、あの顔は老若男女、誰にでも好かれる顔だ。

「バイト仲間には、人気なのよ?あの若社長!」

「そうなんですか。」

言えない。

そんな人から、食事に誘われただなんて。


「ああ!一度でいいから、あんな若社長に誘われてみたい!」

そうだよね。

だって、アイドルだって言ってたもんね。

「結野ちゃん、若いんだから、誘われたりしてね。」

「えっ!」

斉藤さんと見つめ合ってしまう。

「まさか……誘われたの?」

「えっ?いや?」

斉藤さんの目がきらりと光る。

「後でどうだったか、報告してね。」
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