ラグジュアリーシンデレラ
そして真っすぐ、給湯室へ。

バケツに新しい水を入れ、雑巾を洗った。

「……っ。」

涙が頬を伝う。


斉藤さんから、井出さんの連絡先を貰った時、井出さんも私の事を?と思った。

私もシンデレラになれるかもしれないって、思った。

でも、そんなのはお伽話の世界だけで、現実にはない。

だって、一億もするようなマンションに住んでいる人が、どうして給湯室で雑巾を洗っているような私と、結婚するの?

身分が違い過ぎるよ。


「ああ、ここにいた。結野ちゃん。」

斉藤さんは、ふふふと笑っている。

「どうだった?社長さんは?」

「はは、まだ電話してないです。仕事していたので。」

「結野ちゃん、気にしないで電話するんだよ。社長って言ったって、ピンキリなんだから。」

どうやら斉藤さんは、井出さんが高級レジデンスに住んでいる事は、知らないみたいだ。

「斉藤さん。井出さんって、ビルから見える高級レジデンスに住んでいるんですって。」

「はあ?あの億するっていうマンション?」

さすがの斉藤さんも、口をあんぐり開いていた。

「私とは、身分が違うんですよ。」

私は、涙を拭いた。
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