ラグジュアリーシンデレラ
井出さんの目って、吸い込まれそう。

井出さんも、私が目を離せない事、気づいている。

スーッと井出さんの顔が近づいて、唇が重なった。

キスした後、井出さんは私を優しく見降ろした。


「帰ろうか。」

井出さんはナースコールをすると、看護師さんに帰宅する事を告げた。

「今、退院の手続きしますので、お待ちくださいね。」

「は、はい。」

何となく、井出さんを見ながら、ベッドから出る。

さっきキスした事が、ウソのようだ。

しばらくして、看護師さんが請求書を持って来た。

「では、お帰り頂いても大丈夫ですよ。治療費は帰りにお支払い下さいね。」


そう言えば、そうだあああ。

病院で診て貰ったって事は、お金払わないと。

いくらなんだろう。

手持ちのお金で、間に合うかな。

「行こう。」

「はい。」
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