密かに出産したら、俺様社長がとろ甘パパになりました~ママも子どもも離さない~
「ありがとう、間山。もう少し考えてみるね。彼との結婚」
「ああ、そうしてくれ。……って、俺との結婚は?」
自分を指さしてキョトンとする彼がおかしくて、私は思わずクスクス笑った。
「いくら友達が心配だからって、結婚まで申し込むのはやりすぎだよ。ちょっとびっくりしちゃった。でも、間山が本当にいいヤツだって言うのはわかった。あとは、私が選んだ道を陰から応援してくれたらうれしいな」
間山は目をぱちくりさせてしばらく黙った後、目元を手のひらで覆い、ため息をついた。
「わかっていたのに……雛の鈍さは一級品だってこと」
「えっ? なにが一級品なの?」
そう言って間山の顔を覗き込もうとしたら、ドアベルが勢いよくカランと鳴って、見慣れた作業着姿のふたりが入店してきた。
「よっ、雛ちゃん。メリクリ~」
「こんにちは雛子さん。……あ、不憫な小説家センセイもいる」
「佐古田さん、稲垣さん。いらっしゃいませ」
私は並んで入ってきたふたりを接客するためにソファから腰を上げる。
ひとりで席に残された間山は「今この瞬間に不憫と言われるのは堪える……」と力なく呟き、おでこをテーブルにゴツッと打ち付けた。