アイツの溺愛には敵わない

“完全に二人きりの状態になったら映結ちゃんに対して超がつくほど甘々になりそう”


“狼になっちゃうかもね”


これ以上の甘い雰囲気って、どういう感じか想像つかない。


しかも狼って、どういうモード?


いきなり態度が豹変する的なことなんだろうか。


綾芽ちゃんはニコニコしながら話していたけれど、なんだか危険な香りがするんだよね。


この二日間。


ずっと家の中で二人きりだと、緊張して心臓がもたない気がする。


少しでも負荷を軽減させるには……


「はーちゃん、黙り込んでどうしたの?」


耳元で囁かれた声に肩が跳ねる。


颯己は私の体を180度回転させて向かい合わせの状態にすると、眉間をツンツンと優しくつついた。


「ここにシワ寄ってるけど、何か難しいことでも考えてるの?」


「いや、えっと……お昼なんだけど外で食べるのはどうかなって」


「お出かけしたいってこと?」


「うん」


外出すれば二人きりの状態は避けられるから、過度な緊張もしないはず。


あとは、颯己からどんな反応が返ってくるか。


お出かけ日和の良い天気だけど、いきなりの提案だから気が乗らないかも……。


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