アイツの溺愛には敵わない
その後、パン屋に到着した私たち。
店内に並ぶ美味しそうなパンやサンドイッチを購入して緑地公園にやってきた。
「どこで食べる?」
「この辺りは遊具が多くて賑やかだし、あっちに行こう?」
颯己に手を引かれて、綺麗な池のあるエリアへ。
木陰の下にレジャーシートを広げると、触れあうぐらいの距離で並んで座った。
「のどかだね」
「遊具エリアよりは人も少なくて静かだから、はーちゃんとのんびり時間を過ごせそう」
颯己は声を弾ませながら、パン屋さんの袋を覗き込んだ。
「どれから食べる?メロンパン?」
「メロンパンは最後のお楽しみ。先にサンドイッチを食べようと思って。あのお店の商品の中で特に美味しいって評判らしいの」
私はサンドイッチの入ったクラフトボックスを取り出して蓋を開けた。
フワッと漂うパンの香りが鼻をくすぐる。
ライ麦パンの2種類のサンドイッチ。
私がスモークサーモンとクリームチーズの方を手に取ると、颯己はほうれん草とチキンの方を選んだ。
「じゃあ俺もサンドイッチから食べよっと」
二人で“いただきます”と言ってから、口いっぱいに頬張った。