アイツの溺愛には敵わない
「ヤキモチ?」
「……そうかもね」
すごい。
綾芽ちゃんの言ったとおりだった。
「あと、羨ましいっていう感情もあったかな。俺に対して冷たいはーちゃんが碓井さんの前ではいつも可愛く笑ってたから」
「うっ、本当にごめん……」
「いいよ。今は俺の彼女になってくれたし、傍で大好きなはーちゃんの笑顔をたくさん見れるから幸せ」
少し首を傾げて照れくさそうに笑う颯己。
私の笑顔なんかより、よっぽど可愛いんですけど。
「あのさ、もう碓井さんを睨んだりしないから。折を見て謝っておくよ」
「うん」
私も月曜日に綾芽ちゃんに謝ろう。
冷たい視線を向けていたのは颯己だけど、その原因を作っていたのは私だから。
そんなことを考えながら自分のバッグから、ほうじ茶入りのタンブラーを取り出す。
池を眺めながら飲んでいたのも束の間、ワンピースの腰の辺りの生地をツンツンと引っ張られる感覚がして。
颯己を見ると、いつの間にかレジャシートに寝転んでいた。