MATSUのごくありふれた平凡な日々

「大丈夫か?」
「うん」

美紀にしては弱った声で答えると、床に散乱している書類を拾い始める。

暁も追ってしゃがむと、手を貸す。

「ありがと」

美紀がぽつりと言った。

暁は手を止めて、ふっと笑ってからかうように言う。

「おまえとの仲じゃないの?」

美紀はあきれたように、ちらりと見た。

「相変わらず、バカじゃないの」

愉快そうに暁が小さく笑った。

少しずつ去っていくギャラリー越しに、松は二人の様子を眺めていた。

なんだか、な。

はふっと息を吐くと、二人に歩み寄り、一緒に書類を拾う。

< 77 / 107 >

この作品をシェア

pagetop