綾川くんが君臨する
今はそれどころじゃないとわかっていても落ち込んでしまう。
ちょっとだけ涙が滲んだのは、浅井先生が怖いからってことにしておこう。
「綾川、なんとか言ったらどうだ」
とうとう浅井先生がわたしたちの目の前に立ちはだかった。
オワッタ。
こればかりは綾川くんのせいだからね。100パーセント、そうだからね。
「ふたでコソコソ密会……って、わかってんなら、邪魔しないでもらえますかね」
……って、ええ……!?
この期に及んでなに言ってるのこの人!?
「開き直る気か? まったく、みっともない。お前のそのふざけた態度も含めて、担任の木山先生に報告するからな」
「ええ、いいですよ。じゃあ俺は、その“担任の木山先生”と浅井先生が不倫してることを皆にバラしますね」
いや、ほんとになに言ってるの
──って、……え、不倫?
「っ……な、んの話だ。でたらめを」
どういうことか。浅井先生、しっかり動揺してる。
「あ、そうだ。黒鐘も見る? 浅井先生たちの不倫の証拠、俺いっぱい撮ってんだよね」
唇に冷たい笑みをたたえた綾川くんがスマホを取り出した瞬間、浅井先生の顔色がびっくりするほど青く染まった。