綾川くんが君臨する
ピシ、と場の空気が張り詰めたのを感じて、とっさに「あ〜、」と声が出た。
気まずさを繕う言葉を必死に探しながら、時間稼ぎにもう一度「あー……えっと」と、間延びした声を出す様は我ながら間抜け。
「あの〜……き、気にしないでユナちゃん! わたしは押し付けられたとか思ってないし、コラボ配信応援してるし!」
「……あ、ぅ、……すみません、っ、失礼します……っ」
ダッシュで教室を出ていくユナちゃん。
呆然と見送るわたし。
そして……ため息をつく綾川くん。
を、キッと睨んだ。
「綾川くんさいてー……」
「弱ってんだから、あんま怒ってエネルギー使わないほうがいいよ」
「〜っ、誰のせいだと」
「それより今日放送室使えるんだ、ラッキー」
さっきとは打って変わってご機嫌なにこにこ笑顔。
この人、なんでそんなに放送室が好きなんだろ。
……ん? ていうか。
「綾川くん、女の子と用事あるって言ってなかった? たった今」
「嘘も方便ってやつ」
「……そうなんだ」
あ、だめ。 今、ちょっとホッとした。
「でも、あながち嘘じゃないね。今から黒鐘とふたりで……行くんだからさ」