綾川くんが君臨する

言葉が途切れてしまったのは、ふいに強い力で引き寄せられたから。


「もっかいしよ、黒鐘」


…………あ、だめ。


暗闇で、たしかに視線が交わった。

その一瞬、空気が張り詰めて、わたしの意識はすべて綾川くんに奪われた。


呪いにかかったかのように身動きが取れなくなって。
操られたかのように鼓動だけが急加速する。


わたしの心臓、だけじゃない。この空間の静寂すら全て綾川くんに支配されている。


もっかいしよって……なにを?

なんて、尋ねちゃだめ。



「………どいて」


やっとのことで声が出たけど、もはやわたしの気迫はゼロ。

こんなんじゃだめ。呑まれちゃだめ。



「綾川くん。ここ放送室だよ。改めて説明するけど、関係者以外は立ち入り禁止で……」

「うん知ってる。だから今日はもう誰も来ない」


呑まれちゃだめ……なのに。


「さっき教室でできなかったことも、ここでならできるね」
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