綾川くんが君臨する
くらりと目眩がしたのは、なにがなんでも熱のせいなの。
ふたりきりだからとか、距離が近いからとかじゃないの。
暗い空間でつい、好きな人の艶っぽい声に酔わされちゃったとかじゃないの、断じて。
だからそれを証明するために、ありったけ怖いカオをつくって相手を睨んだ。
暗がりでよく見えないかもだけど……
いいの、気迫だけでも伝われば!
「綾川くん、暗いんだけど」
「暗くしたもん」
「早く電気つけて」
「暗くてスイッチ見えない」
「ふざけないでよ、今日の放送遅れちゃう」
スイッチを探して闇雲に伸ばした指先は、相手の大きな手にあっさり捕まった。
「いいよ。もし遅れて怒られても、さっきの女のせいにするから」
「〜っ、あのね、放送委員でもないくせにどの立場でモノを言────」