急募!ベリーの若様が花嫁を御所望です!
「亜里砂…」
大也が振り向き、背中に隠した亜里砂に優しく声をかける。
「もうこんな下衆な奴の相手をしてやる事はない。お前はオフィスに戻っていろ…」
「でも!」
「まだこの男と話し足りないことがあるのか?」
「ありません!」
「なら行け。あと…心配だから、Dの奥方に言って、しばらく家に帰る時は誰か護衛をつけてもらえ」
「若様…でも!」
思わず大也の上着の裾をキュッと摘む。
「私の問題に若様を巻き込んでおいて、自分だけ逃げるわけにはいきません!」
眉を下げ、泣きそうな顔で自分を見上げる亜里砂に、大也は優しく言い含める。
「病めるときも…健やかなるときも…お前が死ぬまでの人生全部を預かって…ずっと守り続けていくと…あの日、俺は誓っただろう?
残念ながら、まだ返事は聞かせてもらっていないし、勝手だと思うかもしれないが、今この時も、俺はお前を守りたいと心から思うんだ。
二年前のあんな顛末を聞かされていれば、尚更だ。
それに…上層がどうだ、下層がどうだとか言うような下衆な輩を相手にするには、俺が一番適任だと思わないか?」
大也はそう言うと、亜里砂の髪をそっと撫でてから、ふっと不敵に笑った。
「若様…」
(どうしよう…胸がドキドキ煩い!なんか若様が、滅茶苦茶格好よく見えるんですけど!)
「さあ…行け。また後で連絡するから…」
「…はい」
亜里砂が踵を返して走り去るのを見届け、大也は池澤に向き直り、指をポキポキと鳴らして言った。
「さあ…池澤公平さん…。場所を変えて話をしようか…」