急募!ベリーの若様が花嫁を御所望です!
◇◇◇◇

大也の執務室…

「展望台の上に、こんなところがあったとは知らなかった…」

「……」

「で…あんた何者なんだ?本当に亜里砂の婚約者というわけではないんだろう?」

ここに来て池澤の大也に対する呼称が、『お前』から『あんた』と、ナチュラルに変わっていることに、池澤本人は言ってしまってから気づいたが、大也が亜里砂の婚約者と名乗っている限り、強気な態度は変えられない。

亜里砂を二度と失うわけにはいかない池澤は、勢いに任せてのこのこと、恋敵?のテリトリーに足を踏み入れてしまったことを、既に後悔し始めていた。

下層のものに強く出る人間ほど、上層のものには弱い。

何しろここはベリータワーの最上階の最奥の部屋。
男の正体に、ある程度予想がついてしまう。

いやいや…
池澤は、心の中で首を横に何度も振った。

自分が想像した人物が、亜里砂クラスの女に目をつけるとは到底思えない。ましてや婚約なんて、全くもって考えられない。
この男が、もし想像通りの『あの男』であるのなら、亜里砂などとは比べ物にならないほどの…各国の政財界の大物の令嬢達との縁談が、それこそ山のように舞い込んでいる筈だ。

いくら亜里砂がそれなりに良家の子女だと言っても、日本を…いや、世界さえも動かすあの一族は格が違う。
『あの男』と亜里砂が、どこで接点を持つというのだ。

いつも煌びやかな女性達に囲まれているであろう『あの男』が…美人といっても、それらと比べれば地味な亜里砂など、欲しがることがあろうか?

万が一そんなことがあったとしても、勝手に婚約など、あの一族の伝説の会長が許す筈がない。
自分の立場のような男ですら、結婚は自由にならなかったのだ。

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