急募!ベリーの若様が花嫁を御所望です!
「はぁ?俺は上にしか立ったことがないんだ。仕方ないじゃないか」

「だよな…。子供の頃から帝王学と経営学の英才教育を受けて育ったおまえは、俺みたいに秘書からって訳でもなかったからな、若様」

「ああ…」

「それにしても、おまえ…亜里砂ちゃんのこと…」

湊は従兄弟の端正な顔を見つめ、一瞬言葉を呑んだ。

「いや…まぁ…本人が気づいてないのなら、俺が言うことではないよな…。大也、ひと月は短いぞ。頑張れ…」

「?」

湊にポンポンと肩を叩かれ、大也は怪訝そうに眉をひそめた。


病院の前で…帰宅すると言う湊と別れ、仕事に戻ろうとタワーに向かい歩き出した大也は、なんとなく亜里砂に叩かれた頬を手で摩りながら、病室での事を思い出していた。

『全く唆るところのない、作り笑いののっぺらぼう』
会ったばかりの亜里砂にそう言ったが…。

あの時…怒った彼女が眼鏡を外した瞬間。
ボンヤリしていたものに急に焦点が合ったように、のっぺらぼうは消え失せた。

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