麗しの彼は、妻に恋をする
「見当たらなかったけど、防犯カメラどこかにあるんでしょう?」

「ええ、まぁ」

大切な妻を無防備にはしておけないといって、和葵が早々に防犯カメラを設置している。
うっそうとた庭木の中に隠すようにあるので、そう簡単には見つからないだろう。

なのでもし、柚希がこのまま姿を消していた場合、彼を追求したことになった。

「参ったなぁ」

「善処しますよ。高崎先生は才能のある方ですから」

クスクス笑いながら、夏目は空を見上げた。

重たそうな雲が北の方からやってくる。
雪が降るかもしれない。早めに荷解きを済ませなければ。

「戻すのを手伝って頂けますか?」

「ええ。もちろんです。じゃあ俺、先に行ってますね」

なるべく和葵と顔を合わせたくないのだろう、そそくさと彼は軽トラックに乗ってエンジンをかけた。

先を行く芳生の軽トラックと夏目が運転するレンタカーを見ながら、和葵と柚希は手を繋いで柚希の愛車のもとへ来た。

「僕が運転しよう」

「ええ? 大丈夫ですか?」

「あ、バカにしたな」

「あはは、だってー。いつも夏目さんが運転しているから」

案の定、長い脚が窮屈そうだ。

高級スーツを着た御曹司が、軽トラックを運転しているというのがおもしろくてクスクスと笑いがとまらない。

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