北向き納戸 間借り猫の亡霊 Ⅱ 『溺愛プロポーズ』
「少し時間あります? 撮りますよふたりで」
 誘った友人じゃなく、見上げた凛乃に答える。「あと15分くらいなら」
「じゃ、あっちの花のとこに」
 ホテルロビー中央の、大きなフラワーアレンジメントが指定された。
 記念写真スポットらしく、花瓶というより壺と呼んだほうがふさわしい大きな花器のまわりに、着飾った男女が何組も立っている。
「なんかすごいカメラじゃない?」
「写真教室行きはじめたんだー」
 友人2人はさっさとアレンジメントのほうへ行ってしまったけれど、凛乃が心配そうに累を見上げた。
「撮ってもらう?」
 せっかく輝いていた凛乃の表情が、心配そうに曇る。
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