北向き納戸 間借り猫の亡霊 Ⅱ 『溺愛プロポーズ』
そうは思うものの思考が停止してしまって、凛乃はコーヒーカップをよろよろとソーサーに戻した。
かちゃり、というささやかな音につられたように、累が腕組みをほどき、ふるりと頭を振った。
「凛乃、ごめん」
テーブルに両手をついてうなだれる姿を見て、心臓がぎゅっと捩じれる。
「おれ、なんか、カッコ悪いけど、わかんなくなって」
続く言葉が耳で詰まった。じわじわと視界がにじむのを止めようと、目を閉じて両の目頭を指で押さえる。
「もう、ムリ?」
イヤだ。否定して。もう指輪ごときでうだうだ言わないから。
「ごめん、何回もプロポーズの予告してたのに、いざとなるとちゃんとしたプロポーズっていうのが、うまくできない。こんなに時間かけておいてだけど、やっぱりおれのキャパじゃ、サプライズとかオリジナルとか、ぜんぜんダメで」
苦々しげな言い訳が、ぶつりと途切れた。
かちゃり、というささやかな音につられたように、累が腕組みをほどき、ふるりと頭を振った。
「凛乃、ごめん」
テーブルに両手をついてうなだれる姿を見て、心臓がぎゅっと捩じれる。
「おれ、なんか、カッコ悪いけど、わかんなくなって」
続く言葉が耳で詰まった。じわじわと視界がにじむのを止めようと、目を閉じて両の目頭を指で押さえる。
「もう、ムリ?」
イヤだ。否定して。もう指輪ごときでうだうだ言わないから。
「ごめん、何回もプロポーズの予告してたのに、いざとなるとちゃんとしたプロポーズっていうのが、うまくできない。こんなに時間かけておいてだけど、やっぱりおれのキャパじゃ、サプライズとかオリジナルとか、ぜんぜんダメで」
苦々しげな言い訳が、ぶつりと途切れた。