北向き納戸 間借り猫の亡霊 Ⅱ 『溺愛プロポーズ』
 言造の細められた瞳が、しみじみと見入る。
「う~ん、かわいい服着ちゃってぇ」
 今日退院したばかりの息子が着ているのは、凛乃が準備していた猫柄の服だ。小さめに産まれたせいか、全体的にぶかぶかで手足が先っぽしか出ていない。
「そういうファンシーなのが、リンリンの好み?」
「さあ。男女どっちでも着れるのがいいとは言ってたけど」
「産まれるまえに性別、聞かなかったんだっけ。やっぱり先走ってフリフリの服とか買っちゃわなくてよかったな」
「女だと思ってた?」
「いや、どっちも楽しみだったけど、女の子の服のほうが目に付くし、かわいいじゃん。でもまずは無事に産まれてからだと思って」
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