北向き納戸 間借り猫の亡霊 Ⅱ 『溺愛プロポーズ』
「きゃぁあああん」
 自分で言っておいて、凛乃が歓声をあげる。
「彪吾、もう1回! 写真撮るからっ」
 興奮してスマートフォンを見つけられない凛乃をよそに、累はこみあげてくる笑いを彪吾の濡れた髪にうずめた。
 潮の香りと混ざる、こども特有の甘い香りが、妙にくすぐったい。
 片腕の中に収まる小さな身体を、累はしっかりと抱き寄せた。
< 308 / 317 >

この作品をシェア

pagetop