北向き納戸 間借り猫の亡霊 Ⅱ 『溺愛プロポーズ』
凛乃が盛大に拍手する。
累はむずがゆさにもぞもぞと座りなおして、ぺこりと頭を下げた。
「どうもありがとう」
はしゃぐ凛乃に促されるまま、キャンドルの火を吹き消す。再度の拍手に追われて、累はスプーンを手に取った。
「いただきます」
ナンバーキャンドルを抜いた穴から、とけはじめたチョコアイスがとろりとこぼれた。
口の中に拡がるアイスクリームの冷たさと焼き菓子のアーモンド風味、お菓子に刺さったキャンドル。それぞれにまつわる淡い記憶が、切れ切れに浮かんでは消える。
「小学校以来。こういうの」
「お祝いが、ですか?」
「拭き消すやつ。さすがに中学以降はケーキを食べる日って感じだった」
目元をほころばせて自分のアイスクリームをすくう凛乃を見つめながら、ブールドネージュを口に入れる。さくさくとした噛み応えと、ほろ苦い味が口の中で踊る。
累はむずがゆさにもぞもぞと座りなおして、ぺこりと頭を下げた。
「どうもありがとう」
はしゃぐ凛乃に促されるまま、キャンドルの火を吹き消す。再度の拍手に追われて、累はスプーンを手に取った。
「いただきます」
ナンバーキャンドルを抜いた穴から、とけはじめたチョコアイスがとろりとこぼれた。
口の中に拡がるアイスクリームの冷たさと焼き菓子のアーモンド風味、お菓子に刺さったキャンドル。それぞれにまつわる淡い記憶が、切れ切れに浮かんでは消える。
「小学校以来。こういうの」
「お祝いが、ですか?」
「拭き消すやつ。さすがに中学以降はケーキを食べる日って感じだった」
目元をほころばせて自分のアイスクリームをすくう凛乃を見つめながら、ブールドネージュを口に入れる。さくさくとした噛み応えと、ほろ苦い味が口の中で踊る。